ナイーヴな数学者のブログ

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<<   作成日時 : 2017/04/07 22:47   >>

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禄を離れ、浪人となって1週間経った。前回浪人暮らしを始めたのは11年前だったが、あの時はまだ「若かった」。前回の記事でも触れたが、早起きの強迫観念はなくなったが、その際の期待と違って、遅くまで起きていることが増えて、睡眠時間の確保が改善されたと言えるかどうか。

大分「処分」したとは言え、持ち帰った本も結構ある。読むだけでは余り意味があるとは思えないが、発信の機会は激減してしまった。その方が、身のためでもあるだろうし、また、世に汚毒を垂れ流すかも知れない機会が生じないということかも知れない。

老いた数(理科)学者の認知症例では、現役時代に果たせなかった(研究上の)「夢」を追い続けているつもりでも、自らの「立ち位置」への判断力を完全に喪失してしまっている状態を表しているものが、少なくとも、わたくしの見聞する範囲では多いようである(数学者ではないが、最晩年の亡父の種々の認知症現象の内にも、こういう要素はあったと思っている)。

かつては、こういう老先生からは電話が掛かってくるものであった。わたくしは専門外ですからと言って、知人を紹介したこともあり、その人からは恨まれてしまったという苦い記憶もある。他の先生であるが、大問題が解決できたので論文を送るという電話があったが、それっきりになっているという例もある。直系のお弟子さんが止めたのかも知れないが、何らかの形で研究の一線の情報を得ていることが、老いた碩学が「暴走」しないための必要条件かもしれない。

ここ4年くらいだが、かつての勤務先に月に一二回の割合でハガキに「研究情報」を印刷して送ってくる人がいた。同様のハガキは別の知人のところにも送られてきていたみたいで、その知人からは、わたくしのところに来ていることに、むしろ、驚かれてしまった。要するに、専門的にも人間関係的にも、決して、わたくしと近いとは言えない人なのに、わたくしにもハガキを送って来ていたということも、この人の「位置の認識」が、さまざまな点で加齢による改変を受けていることを示しているのだろう。

ともかく、一応の片づけが済んだら、まあ、しばらくは数学の周辺をうろうろすることになるのだろうが、ほぼ9年止まっていたのである。校長になる前の年には、シンシナティに行ったことは覚えているが、あの頃は何を目指していたかが正確には思い出せない。ファイルはいろいろと残っているが、尻切れトンボのものだらけで、気分が甦らないのである。仮に、多少進めることができたとして、英語の論文化したら発表ができるだろうか。これについては、最近の事情を聞きに、昔の勤務先に行かなければなるまい。

ところで、Scientific American のニューズ・レターを見ていて、Baking PI という語が目に入り、Eugenia Cheng という人のカナダの Perimeter Institute for Theoretical Physics(略して PI https://www.perimeterinstitute.ca )での Public Lecture

       https://youtu.be/66cJwoRmO1w
  
に気が付いた。彼女は、カテゴリー論の研究者であり、ピアニストでもあり、さらに、ケーキを焼くのも巧みなのだそうだが、詳しいことは、本人のホームページにある。公開講演に対応する著書

       How to Bake Pi: An Edible Exploration of the Mathematics of Mathematics
                  Basic Books, 2016(Paperback) 2015(hard cover)
                  ISBN 978-0-465-05171-7(hard cover)

がある(アマゾンのサイトで調べたが、ソフトカヴァーの ISBN は載っていない)。アマゾンの注文では、前の勤務先のメイルアドレスを使っていたが、しばらく使えるはずということで、変更はしていない。ところが、このアドレスは今も生きてはいるのだが、設定が変わってしまっているのか、パスワードが無効化されていて入ることができない。初期パスワード相当のものをもらわない限り、どうしようもないのだが、学年初めの忙しさのためか、対応はしてくれているはずだが、来週以降にならないと、どうにもならないようである。

さて、彼女の講演が大変面白い。一時間余りのものであるが、講演の目的と概要を述べた後、バッハの平均律クラヴィーア曲集第2巻前奏曲ト長調(Prelude 2 G Major for well-tuned Clavier) の演奏から始め、その三声のフーガの構造に注意を払い、三個のお手玉、髪の三つ編み、30の約数(素因数2、3、5)、ベッド・メイキングの際のシーツの返し方(生成元3個の群の構造が入る)、変換の樹木、ケーキ作りと樹木、…、最後に、ベーグルに切り込みを入れてメビウスの帯を実現できるとするところまでの、筋の組み立ても実に巧みで、しかも、数学的な構造が透徹していることを手抜きなしにきちんと示している。講演後の多数の質問に丁寧に答えているところもよい。質問者の最後の、小学生が、まあ、可愛かった。

なお、ここで、PI の公開講演の構成上感心したのは、質問者をあらかじめ確保できるような手が打たれていることである。そして、質問者は質問者用のマイクのあるところで列を作って自分の番を待っている。日本の講演会では、よい質問がなかなか出ないものであるが、この方法は考慮に入れてよいのではないだろうか。


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